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こんにちは、税理士の八谷です。
本当の意味での相続税のエキスパートとして、相続税申告のお悩み、疑問のヒントをお伝えしています。
相続税を計算する場合、差し引けるものがあれば、なるべく控除したいですよね。
では何が差し引けるものなのか分かりやすくまとめてみました。
専門用語が並ぶ書類なども多く、これも引けるのかしら?など各家庭により色々と異なるため、不安に思う事があれば、お気軽に八谷昌宏税理士事務所にご相談下さい。
1.何が控除できるの?
相続税の計算をする場合、大切なのは遺産を全て確認する事です。ここで確認もれがあると、後の税務調査で指摘を受け、加算税や延滞税など
大きな負担が余計にかかってしまします。
《参考》遺産の確認に関するポイントは下記で解説しております。
◎どうやって確認する?相続税申告書に必要な書類~Part1~
https://zei-yatani.com/inheritance-tax/document_part1/
◎どうやって確認する?相続税申告書に必要な書類~Part2~
https://zei-yatani.com/inheritance-tax/document_part2/
遺産の確認が取れた後、“債務控除”として被相続人が残した借入金などを差し引く事ができます。
では、具体的にどんなものが差し引けるでしょうか。
a.借入金
- ・銀行や金融機関からの借入金(ただし、団体信用保険に加入している住宅ローンの場合は被相続人の死亡により補填されるので除きます。)
- ・個人からの借入金
- ・その他、被相続人が死亡した時にあった債務で確実と認められるもの
b. 未払い金
- ・未納だった税金(所得税、住民税、固定資産税、自動車税、事業税、消費税など)
- ・未払いだった費用(水道光熱費、保険料、クレジットカードの引き落とし、通信費、病院の費用)
- ・買掛金など被相続人の事業の未払い費用
注)お墓や仏壇などの購入に関する未払い金は債務控除の対象にはなりません。
c. 葬儀費用
葬儀費用は被相続人の債務ではありませんが、債務控除として遺産から差し引く事ができます。
- ・お通夜、お葬式にかかった費用
- ・お葬式での読経料、お布施、戒名料など、お寺に支払った費用
- ・埋葬、火葬などにかかった費用
- ・お通夜、お葬式の際の飲食費など
- ・遺体・遺骨の捜索、回送(運搬)費用
注)下記のものは債務控除の対象にはなりません。
初七日、四十九日などの法要の費用は控除できません
香典返しの費用
医学的な遺体の解剖などの費用
d. 預かり敷金
被相続人が賃貸不動産を所有していた場合、賃借人から敷金を預かる場合があります。その敷金は債務控除の対象となります。
2.差し引くことができる人
被相続人の債務を負担した人でも、相続税の計算で債務控除をできる人とできない人がいます。
①法定相続人、包括受遺者は相続財産から債務控除できますが、相続人でない特定受遺者は債務控除できません。
*包括遺贈とは、遺言によって「遺産の半分を遺贈する」など全部または一定の割合で遺産を遺贈すること、特定遺贈は「大阪府大阪市○○区1-1-1の土地を□□へ遺贈する」と、財産を特定して遺贈することを言います。
②相続放棄、欠格・排除者は遺産を相続しても債務控除はできません。
また、相続や遺贈で財産を取得した時に、日本国内に住所がある人、無い人などでも債務控除ができる場合とできない場合が
あります。ご不明な点などありましたら、お気軽に当事務所にお尋ね下さい。
3.まとめ
お亡くなりになった場合、色々と慌ただしいとは存じます。
相続税を適正に計算のためにも、葬儀などの費用は領収書を保存したり、メモを取っておくことをオススメします。
こんにちは、税理士の八谷です。
本当の意味での相続税のエキスパートとして、相続税申告のお悩み、疑問のヒントをお伝えしています。
相続が発生した場合、遺産をどうやって確認するのか、どんな書類を集めれば良いのか、本当に大変な作業になります。
今回は、相続税申告の時に「え?これも相続財産になるの!」と相続人の方がよく驚かれる遺産についてお話したいと思います。
【目次】
1.そもそも「相続財産」って?
a.民法によれば…
b.相続税法によれば…
2.「みなし相続財産」って何?!
① 生命保険金
② 死亡退職金
③ 死亡前3年以内に贈与を受けたもの
④ 相続時精算課税の適用をうけた財産
3.まとめ
1.そもそも「相続財産」って?
a.民法によれば…
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に属したものは、この限りでない。(民法第896条)」とあります。つまり“権利”とは一般的には“プラスの財産”、“義務”とは“債務(マイナスの財産)”の事と考えられます。
“一身に属したもの”とは、その権利が被相続人に属し、他人に譲渡などの移転ができないもので、具体的には年金受給権や相続による譲渡禁止特約のあるゴルフ会員権などです。
※財産や債務の確認方法は前回までのコラムで解説しておりますので、ご参照下さい。
《どうやって確認する?!相続税申告書に必要な書類~part2~》
https://zei-yatani.com/inheritance-tax/document_part2/
b.相続税法によれば…
「死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含む)によって取得した場合に、その取得した財産」とあり、具体的には現金、預貯金有価証券、宝石、土地、家屋などの他、貸付金、著作権、特許権など金銭に見積もることができる経済的価値があるもの全てのものとあります。
そして、注意しなければならないのは、民法上の相続財産に加えて、相続税申告の場合“みなし相続財産”とされるものも相続税の対象となるのです。
2.「みなし相続財産」って何?!
「みなし相続財産」とは民法上の遺産に加え、相続税法上で遺産として課税の対象になるものです。日本語的に「本来は相続財産ではないけど、相続財産とみなされるのね?!」と何となく分かるような…でも何?と思いますよね。では、その具体例をいくつか挙げます。
① 生命保険金(被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など)
被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金は、被相続人が有していた財産ではありません。しかし、被相続人の死亡により相続人が受け取る金銭のため、相続財産と同じように考えられ、相続税の申告が必要となります。生命保険契約は保険料の負担者や受取人により相続税のみならず、所得税や贈与税の対象になる場合もありますので、専門家である税理士にご相談下さい。
② 死亡退職金
被相続人が生存中、退職の際に受け取る退職金ですが、被相続人の死亡の時も死亡退職金として相続人が受け取る場合があります。
本来は被相続人の財産ではありませんが、死亡の際に相続人が受け取る金銭のため、相続財産とみなされて相続税申告が必要となります。
(死亡後3年以内に金額が確定したものに限ります。)
③ 死亡前3年以内に贈与を受けたもの
相続または遺贈により財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合、その財産は相続税申告書に財産として計上します。
④ 相続時精算課税の適用をうけた財産
被相続人から、相続時精算課税の適用を受けて財産の贈与を受けた場合、その財産は相続税申告書に財産として計上します。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?相続財産は確認作業だけでも大変ですが、相続税上で意外なものも課税対象となります。
早めに専門家である税理士と相談しながら申告書をまとめていかれる事をおすすめします。