こんにちは、税理士の八谷です。本当の意味での相続税のエキスパートとして、相続税申告のお悩み、疑問のヒントをお伝えしています。

 

前回の「小規模宅地等の特例」について説明いたしましたとおり、被相続人のご自宅は条件を満たせば相続税評価額が8割引きになります。
しかし、ご自宅があっても色々な事情で、被相続人が亡くなるときは住んでいなかった…という場合も多々ございます。
今回はよく質問を受ける「被相続人は死亡時に老人ホームに入っていた場合は、特例が適用できるのか?」について、お話したいと思います。

 

八谷昌宏税理士事務所では、各ご家庭の御事情を丁寧に聞き取り、特例について十分に検討しています。
お気軽にご相談下さい。

1.「小規模宅地等の特例」についての概要

まずは、「小規模宅地等の特例」とはどう言う特例なのでしょうか…前回のコラムにて解説していますので、参考にして下さい。
家を守りたい!自宅は8割引き?!相続税申告で使うべき特例について

2.老人ホームに入所していた場合

a. 特例を受けられるの?

「小規模宅地等の特例(特定居住用)」は「相続開始直前において、被相続人に居住の用に供されていた宅地等」であった場合に適用されます。
しかし、被相続人が亡くなられた時に老人ホームに入所していた場合、ご自宅には住んでいない、という解釈になりますよね…(-_-;)
以前は小規模宅地等の特例は原則的には適用できなかったのですが、平成26年1月1日以降に相続が発生した場合は条件を満たせば適用できるよう改正されました。

b.特例を受けられる条件とは

イラスト2
では、特例を受けられる条件はどう言うものでしょう。それは被相続人が被相続人が居住の用に供することができない2つの理由に限定されています。

 

①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定もしくは要支援認定を受けていたこと

 

②被相続人が老人福祉法や介護保険法などに規定する老人ホームや高齢者向け住宅等に入所していたこと

c.申告の時に必要な書類は?

小規模宅地等の特例を適用するためには、相続税申告の際に一定の書類を提出しなければいけません。

 

①被相続人の戸籍の附票の写し
②介護保険の被保険者の写しなどで、被相続人が要介護認定、要支援認定を受けていたことが分かるもの
③施設への入所時における契約書などで、入所していた施設の詳細が分かるもの

3.老人ホームに入所後の注意点

被相続人が老人ホームに入り、ご自宅から離れて暮らしても上記の内容を満たせば小規模宅地等の特例が受けられます。
しかし注意しなければならない事があるんです!
老人ホームに入所後、ご自宅を下記の用途に使用すると小規模宅地等の特例の特例が受けられなくなってしまいます。

 

a.人に貸して賃料を受け取る。
b.事業用として使用する
c.他の場所に住んでいた、被相続人と生計が別だった親族が住む。(無償で)
※もともと被相続人と生計が一だった親族が住み続ける場合は特例は適用できます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?
大切なご自宅、ご実家を守るためにも小規模宅地の特例を受けられるか、受けられないかは相続税額で大きな差が生じます。
相続が発生する前に相続税の専門家である税理士とよく相談しておくことが、大切な相続税対策です。
八谷昌宏税理士事務所でも、不動産の評価や特例の内容について、専門知識を分かりやすくご説明しております。お気軽にご相談下さい。