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こんにちは、税理士の八谷です。本当の意味での相続税のエキスパートとして、相続税申告のお悩み、疑問のヒントをお伝えしています。
相続財産の中で大きな割合を占めるものは何でしょうか?
株式取引がお好きで、遺産がほぼ有価証券という方もいらっしゃいますが、やはり不動産の割合が高い事案が多く見受けられます。
自宅、事業用不動産、賃貸物件など色々な種類がありますが、相続税を計算する場合、「小規模宅地等の特例」があり、この特例を誰が、どの物件で適用するかで、相続税が大きく変わります!
八谷昌宏税理士事務所では、遺産の内容をお伺いし、この特例について丁寧に検討しています。お気軽にご相談下さい。
1.「小規模宅地等の特例」についての概要
a.どんな特例なの?
個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等のうち、条件に合う場合に相続税評価額から一定の割合が減額されます。
被相続人や被相続人と生計を同じくする親族が住んでいる家や事業をしているお店などを相続税の支払いのために売却しなければならない…そんな悲しい事が起こらないよう創設された特例です。
b.どんな土地が特例を使えるの?
特例の対象となる宅地等は下記のいずれかに該当しなければなりません。
- ① 特定居住用宅地等
- ② 特定事業用宅地等
- ③ 特定同族会社事業用宅地等
- ④ 貸付事業用宅地等
今回は①特定居住用宅地等、つまりご自宅に関係する特例についてお話したいと思います。
2.特例の適用条件
a.誰が特例を受けられるの?
① 被相続人の配偶者
配偶者が相続する場合は無条件で特例が受けられます。
② 被相続人と生計を一にしていた親族
被相続人と生前から同居していた等、生計を同じくしていた親族が相続し、相続税申告期限まで引き続き居住し、かつ所有している場合に適用されます。
③ 上記①②以外の親族
被相続人に配偶者及び同居している相続人がおらず、相続開始前3年以内に自分の持ち家に住んでいない相続人で、相続税申告期限まで所有している場合に適用されます。
税務の業界では「家なき子」とも呼ばれています。この「家なき子」に関する適用条件は平成30年4月1日から改正されているため、注意が必要です!
詳しくは当税理士事務所にご相談下さい。
3.特例の適用面積と減額率
この特例を適用できる限度面積は330㎡、減額できる率は80%となっています。
《例》自宅の敷地が500㎡ある場合…敷地のうち330㎡は80%減額できますが、あとの170㎡は減額できず、そのままの相続税評価額となります。
土地の相続税評価額が1㎡あたり100,000円とすれば
100,000円×500㎡=50,000,000円
↓ 小規模宅地等の特例を適用
・100,000円×330㎡×(100%ー80%)=6,600,000円
・100,000円×170㎡=17,000,000円
合計 23,600,000円
小規模宅地等の特例を適用する事により、相続税評価額が 26,400,000円 減額されます!
4.まとめ
不動産の相続税評価額が大きく変わる「小規模宅地等の特例」ですが、まだ誰が、どの物件を相続するかによっても相続税額に差が出ます。
適用するための必要書類も色々と揃えないといけませんので、なるべく早めに相続税の専門家である税理士にご相談されることをお勧めします。