こんにちは、税理士の八谷です。本当の意味での相続税のエキスパートとして、相続税申告のお悩み、疑問のヒントをお伝えしています。
相続が発生するとお葬式、遺産の整理や分割、相続税申告、納付、お墓・・・と本当に色々な事をしなければなりません。終わってホッとした、と 意外と忘れてしまう、後回しにして気付けば月日が経過している、というのが「相続登記」です。
今までは不動産の登記を相続人に変更する期限や罰則がありませんでしたが、これからは要注意です!
1. 所有者不明の土地が北海道に匹敵する?!
国土交通省の調査によると、登記簿で所有者が分からない土地が20%を超える事が判明するなど、今まで放置されてきた 土地の多さが問題になっています。なんと所有者不明の原因の3分の2が相続登記の未登記、他には所有者の住所変更による未登記などだそうです。 このまま放置すると2040年には北海道の面積を超するという試算もあるそうです。
2. 未登記の場合のデメリット
相続登記を行わず放置された土地には、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
1 所有者を探すのが大変!
所有者を検索する手続き、時間、コストなど膨大なものになり、公共事業や再開発の対象地になった場合、
また災害時の対策工事が進まないなど、私達の生活にも悪影響が及ぶこともあります。
2 土地を活用したい!と思った時に大変
もし、相続登記をせずに長年が経過した場合、2次相続などで相続人が樹形図のように広がり、ものすごい人数に増える場合もあります。その 場合でも、1人1人全員の戸籍謄本や印鑑証明、分割協議書などが必要となり、その作業は困難を極めます。
3. 相続登記が義務化に
このような問題を考慮し、2021年4月に相続登記を義務化する改正法案が可決され、2024年を目途に施行されることになりました。 では、この法改正でどのように変わるのでしょうか?
① 相続人が、相続や遺贈で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請しなければなりません。今までは相続登記をしなくても罰金等はありませんでしたが、これからは10万円以下の過料が課されます。
しかし、3年以内に相続登記が申請できない場合には、下記の手続きにより一時的に過料を免れることができます。
◎法定相続分による相続登記をする
◎相続人である旨の申出(相続人申告登記)をする
② 所有者である個人の氏名、または法人の名称、住所(本店所在地)に変更があった場合は、その日から2年以内に変更登記をする事が義務化されます。これを怠ると5万円以下の過料が課されます。
③ 相続しても売却が難しい土地、活用方法がない場合など、その所有権を放棄して土地を国庫へ帰属させることが可能になりました。これによって、固定資産税を納め続ける負担が軽減されます。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?
八谷昌宏税理士事務所では相続税の申告手続きが少しでもスムーズに進行するよう、心掛けています。相続税の申告と共に、これからは登記の手続きまで完了しないと思わぬ過料を支払わないといけません。相続に関しては全体的な流れをきちんと留意して手続きを進めましょう。何かと専門的知識も必要になりますので、お気軽に当事務所にご相談下さい。